ほたるや

蛍が売られてるお店のごとく、珍しくありたい

けものフレンズ

今年大ブームとなったけものフレンズ
僕はそんなにアニメに詳しい方ではないが、僕が20代の間に見たアニメ
即ちここ10年の間で、間違いなく一番の名作と言える作品だろう


まずはデザインの秀逸さ
ケロロ軍曹で有名(僕的には七人のナナか(笑))な吉崎観音氏がキャラデザを担当しているが、秀逸なデザインばかりである
とりあえず猫耳と尻尾をつけた美少女、みたいなありきたりではなく、キャラクターごとに事細かなデザインが為されている
作中でも大人気のトキ、ハシビロコウのデザインの秀逸さには驚嘆した


続いて、主題歌のインパク
アメトークでも語られていたが、OP「ようこそジャパリパーク」のインパクトは凄まじい
近年では珍しく(?)歌詞を読んだだけでアニメの内容がよく分かり、可愛さと明るさが混ざり合ってより高い次元に昇華している作品だ
平井堅氏が「メロディがおいしいところだらけ」と絶賛したのも頷ける

一方EDの「ぼくのフレンド」は、一転してしっとりとした名曲タイプの作品である
曲調もさることながら、ストレートだが心に直に突き刺さる歌詞も見事
難しい言葉、表現を用いなくても、一行一行を大切に作ったら、こんなにも素晴らしい歌詞が出来上がるという好例であろう

OP、EDとも優れたアニメは近年ではあまり無いと思う
僕は多くのアニメを見ている訳ではないので、あくまでも推測ではあるが
曲時代の良さに加え、毎回毎回微妙に変化を加えている映像も、主題歌の秀逸さに拍車をかけている


最後に、一番大きな要員は、内容の素晴らしさ
これからは僕の主観的な意見が続くので、皆様と捉え方が違っている点も多々あると思われるが、ご容赦願いたい

けもフレというと、擬人化した動物キャラがいっぱい出てくるので、動物の魅力を描いた作品だと思われるだろう
勿論、そのような部分も大きい
各キャラクターは、実際の動物が行う習性や行動、寝方に至るまで忠実に再現している
決して萌え要素として猫耳、尻尾が付いたキャラクターではない
吉崎観音先生やたつき監督の動物愛が凄く伝わってくる

ただ、動物への愛情と同等、もしくはそれ以上にしっかり描こうとしているのが、人間の素晴らしさ
『人間賛歌』という言葉が正しいのか分からないが、人間が持つ知恵や感情、理性、コミュニケーション能力などがしっかり描かれている
主人公のかばんちゃんが、毎回ゲストキャラの悩みと向き合い、解決策を編み出していくのがこの作品の見所だ
ゲストキャラとの交流により親密度が高まり、最後には皆かばんちゃんのことが大好きになるのである
僕はこういう作品を見たことがない

今までの人間と動物を描いた作品と言えば、殆どが人間を絶対悪としているものだった
実際、現実世界でも人間は多くの動物を絶滅に追い込んでいる
食べるためだったり、危険除去のためのハントは仕方ないことだが、牙や皮目当てだったり、酷い場合はスポーツのノリで多くの動物が狩られ、数を減らしてしまった
50億羽いたリョコウバトの絶滅は、人間の愚かさを伝える事例として、あまりにも有名である

そのようなこともあってか、自然や動物を愛するキャラクターと、欲深い人間(メインキャラ自体はそうでなくても、過去の人間がそうであったというよつな)の対立構造をメインに据えている作品が多いように思えた
しかし、人間は過ちを犯す一方、同じ過ちを犯さぬよう努力できる人間でもある

リョコウバトを滅ぼしたアメリカ人は、国鳥であるハクトウワシの数が激減した際に保護政策を行った
熱心な保護政策の結果、絶滅危惧種リストから外れるほど個体数を回復させた
国産のトキやコウノトリを絶滅させた日本は、同一種である中国産の人工繁殖により、再び復活させて、現在再野生化計画を進行中である
人間は過ちを犯すが、過去の過ちに学ぶことの出来る生物である

けものフレンズの素晴らしさは、動物のフレンズの持つ身体能力や個性と、人間のフレンズの持つ知性や理性を共存させている部分である
どちらかを一方的に悪と描写するのではなく、それぞれの優れた点を掛け合わせ、より大きな成果を得る部分に重きを置いている
サーバルちゃんが1話で言った「フレンズによってできることは違う」という名言が、まさにこのことを大きく伝えてくれる

名言と言うと、この作品は本当に名言が多い
低IQと揶揄されることもあるが、人間より知恵の劣る動物のフレンズが発する言葉だからこそ、説教くさくないシンプルな台詞が多いのだ


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「美味しいものを食べてこその人生なのです」


正直なところ、アニメの台詞を聞いて泣いたのは、咲の池田の「華菜ちゃんはずーずーしーから、まだまだ諦めない!」以来である


けものフレンズは決して、大々的に宣伝されたアニメではない
サービスが終了したアプリが原作であり、まったく注目されていなかった
僕も「金朋が出るから録画しとくか」くらいな感じでたまたま録画していたくらいである

1話の時点では物凄く評判が悪かった
CGのチープさやキャラクターの演技の拙さが目立ち、あちこちで酷評された
「5分アニメを無理矢理延ばしてる」と揶揄されたくらいだ
僕は初めて1話を見たときから、最近のアニメには少ないゆったり感に感動したものだが、最終話を見てから改めてみると、数々の伏線や下地になる行動にさらに感動した

しかし2話のコツメカワウソちゃんの明るさとジャガーさんの優しさが垣間見れた辺りから徐々にハマる人が増え
3話のトキさんとアルパカさんのキャラの濃さに中毒になる人が続出
4話のスナネコちゃんの可愛らしさとツチノコちゃんの変な声と頭の良さ、そしてストーリーの面白さから一般的な視聴者からも注目されるようになった
あとは様々な媒体で、けもフレブームが喧伝され、今年のお化けアニメになった訳である
ここまで大化けしたアニメはあまり無いのではないだろうか


さて、けものフレンズの2期はほぼ決定した訳だが、たつき監督の降板が決まってしまった
正直、角川とヤオヨロズの間でどういうやりとりがあったか知らないし、どういう契約なのかも分からない
SMAPもそうだが、こういういざこざがあった際はほぼ毎回権力を持つ側が悪呼ばわりされてしまうが、何も知らない状態で一方を批判するのはどうかと思う
たつき監督の素晴らしさを理解しつつ、降板を惜しみつつも、2期を楽しみにしたいものだ