キルミーベイベー論-笑いの基本構造③-
続いて、キルミーベイベーに登場するキャラクターを紹介する
登場人物が少ないからこそ、キャラクターの”個性”はより重要なものとなっているのだ
折部やすな
この作品の主人公であり、主にボケ担当
やすなの特徴というとおバカであることがまず挙げられよう
やすなのおバカ具合は話によってコロコロ変わり、ただの天然の時もあれば、マジで大丈夫かコイツと思ってしまうときもある
ただしやすなはバカはバカでも、明るく前向きなバカである
何度ボコられようと、痛い目に合おうと、常に前向きで突っ走る主人公気質の持ち主だ
やすなはすぐに何かの影響を受けてしまうのが特徴である
何らかの影響を受けたやすなが後述のソーニャを遊びに誘うことから、キルミーの話が始まる
無視されても拒絶されてもぶん殴られても、とにかくやすなは突っ走るのだ
とにもかくにもおバカなやすなだが、実はこの作品で一番マトモなキャラクターだったりする
余談だが、原作初期のやすなは、時々男の子っぽく見えてかわいい
ショタコンでは決してない
ソーニャ
この作品の主人公であり、主に暴力ツッコミ担当
おそらくロシア出身(アニメの歌詞参照)の外国人で、殺し屋である
殺し屋といいながら、実際に殺すシーンが描かれている訳ではなく、自称の疑いも持たれるが、多分殺し屋である
やすなに絡まれたり、揶揄われてたりして、ボコボコにするのが日課である
ソーニャの特徴は色々あるが、冷淡なことが挙げられるだろう
基本的にやすなの誘いを断る 誘いに乗ってからも一つのボケに対して過剰な暴力で返す
顔面パンチ、チョップ、関節技、首絞め、ナイフ投擲などなど、女性は傷つけない諸作品に喧嘩売るかのようにやすなをボコボコにする
ただし動物やお化けが苦手という女の子らしい部分もある
ソーニャはツッコミ担当キャラだが、一般的なツッコミキャラとは異なる
やすなのボケを無視する、すかしツッコミと、ボケに対し過剰に(暴力で)ツッコむ、過剰ツッコミの両輪が持ち味だ
ようは、とろサーモンのすかし漫才と、ボーイフレンドの過剰ツッコミ漫才を足したような、一般的でないツッコミを行う
またソーニャはツッコミ担当ではあるが、どこか抜けている部分もあり、その際はやすながツッコミに回る
呉識あぎり
殺し屋忍者で、通称あぎりさん 大ボケ担当
基本やすなとソーニャの2人で話が進むのだが、所々で関わってくるのがあぎりさんその人だ
あぎりさんの立ち位置は大ボケにあたる 色々とぶっ飛んだあぎりさんが登場すると、やすなはツッコミに回らざるを得ないのだ
胡散臭い忍術と、本物っぽい忍術を巧みに使い分け、痛い目に合うことがほとんどない無敵キャラクターでもある
あぎりさんの面白いところは、忍者という存在をメタ的に描いているところだ
所謂テンプレ的な忍者像を逆手に取って、色々展開させていくことが特徴だ
ようはツッコミなくして笑いを取れる、シュールなピン芸みたいなもの
あぎりさんの存在は、漫才的要素が強い作品において、非常にいい塩梅となっている
没キャラ
没になってしまった悲しきキャラクター(本名不明)
原作にはほとんど登場しないが、アニメではオチ担当 CV釘宮
ヴィータちゃんではないし、イメクラもやっていない
(続く)