シュール論
「シュール」という言葉が苦手である
僕のこの言葉に対する捉え方は、「意味が分からない」「訳が分からない」みたいな感じだ
しかし巷でシュールと呼ばれてる芸人は、大抵意味のよく分かるネタをやっている
ただ「テンポが遅い」だとか、「ローテンション」だとか、「抑揚がない」だとか「斬新な設定」だとか、そういう理由で「シュール」と呼ばれている
果たしてそうなのか?
例えばアンガールズ
気持ち悪さが特徴であるが、やっているコントに不思議さはない
笑いどころこそ分かりにくいかもしれないが、笑わせ方の構造自体は非常に分かりやすい
スーッと流れていく感じの、スマートなコントが魅力だ
例えばラバーガール
常にローテンションでボケてツッコみ合う 基本これの繰り返し
コント師ながら、設定よりも単純なボケツッコミのやり取りで笑いを取る漫才師的要素が強いコンビだ
シュールどころか、非常に分かりやすいタイプの面白さだと考える
例えばジャルジャル
漫才もコントもこなすコンビだが、どちらも奇抜な構成や斬新な設定が特徴である
しかし基本的にジャルの構成や設定は、笑いどころが容易に把握できるものが多い
笑いどころこそ理解できれば、取っ付き難いジャルの漫才やコントは身近なものになる
例えばさらば青春の光
ボケ、ツッコミの単純なやり取りではなく、さらに根底の部分、設定を何より重視するコンビである
初めに二人である程度やりとりを行い、見る側に今回の設定を提示する
設定が見る側に伝われば、その後の展開で二倍、三倍と面白さが増幅されていく
笑いの構造こそ多少厄介だが、決して意味の分からないネタという訳ではない
シュールと呼ばれるコンビの多くが、僕の考えではシュールだとは思わない
しかし、シュールという言葉はしばしば多用される
取っつき易い言葉なんだろうし、意味が変化していってるのかもしれない
深く考えすぎなのかもしれない
ただ、面白い芸人さんに対して「シュール」の一言で簡単に片づけて欲しくないのだ
シュールと呼ばれる芸人さんのほとんどが、知恵を絞って訳が分かるネタを作成してるのだから
アンガもラバガもジャルもさらばも、決してシュールではない、が、まごうことなく面白い芸人さんだ
ちなみに、僕の思うシュールな芸人さんは、やはり野生爆弾である
この人たちは構成とか設定とかセオリーとかを、色々と無視しまくっているハチャメチャさが魅力だ
野爆くらい意味不明だけど面白い芸人さんにのみ、「シュール」という表現を用いて欲しい